多文化・国際協力学科 4年 筒井愛紗さん
筒井さんの大学生活はコロナ禍でスタートしました。
津田塾大学3年次に休学を選択し、カナダでの語学研修で語学を学んだ後、カナダとフランスの農家を巡り、農業への想いを深めました。
帰国後の国際協力機構(JICA)インターンを経て、卒業後はJICA海外協力隊としてアフリカへ向かうことを決めた 筒井さんに、お話をうかがいました。

コロナ禍から外の世界へ
私の学生生活はコロナで始まって大学1・2年次は移動が制限されていたこともあり、1年間外の世界へ行きたいと思うようになりました。当時は明確な目標があったわけではありませんが、アルバイトで資金を貯めていました。そんな時期に、私が特に関心を寄せていたのが、第二外国語として1年次から学び始めたフランス語です。複雑な文法や論理構造が、パズルのように新鮮に映りました。さらに、その言語がフランスだけでなくアフリカでも話されていることを知り、フランス語学習への意欲がさらにかき立てられました。コロナ禍での外の世界への憧れと、フランス語の学習を通して膨らんだ好奇心から、3年次に休学を決意し、カナダ、そしてフランスへと飛び立ちました。
カナダ・フランスでの学び
フランス語を上達させたいという思いから、カナダの中でもフランス語圏であるケベックの語学学校へ留学しました。カナダは日本よりも街中で自然を身近に感じられる場所であり、私自身も次第に「自然に近いところで活動してみたい」、「食べ物が食卓に届くまでの過程を知りたい」と思うようになりました。
カナダ・フランスの農家を巡る:農業体験から見出した研究テーマ
「教科書からの学びもあるけれど、自分は本当に実態を理解できているのだろうか?」という疑問を抱き、「気になるなら、自分の足で行ってみる」という探究心から、カナダとフランスでは6か月で6つの農家さんに滞在し、農作業や農家での生活を体験しました。はじめは自然や農業を知りたいという素直な好奇心から始まったものでしたが、実際に土に触れる生活は、時間の流れがゆっくりと進む心地よいものでした。常に自然が隣り合わせにある環境で、まるで自分自身が自然と人間の間に立っているような感覚を覚え、農業の素晴らしさを実感しました。一方で、農業や家畜生産が気候変動の議論では、時として「悪者」のように扱われる現状に違和感を抱きました。この生活を通して肌で感じたことは、帰国後の卒業論文のテーマへと繋がっていきました。

フランスの羊農家での様子
進路選択のきっかけとなったJICAインターン
ウガンダからのJICA研修員やJICA海外協力隊経験者等との出会い
帰国後、休学中の経験を糧に、国際協力機構(JICA)筑波でのインターンシップという新たな挑戦の機会を得ました。高校時代から国際協力に関心はあったものの、フランスから帰国した直後は、まだ将来のキャリアとしては考えていませんでした。JICAの現場では、「知ること」と「できること」の差を強く感じました。インターンシップ期間中、ウガンダからの研修員に、「農業とジェンダー」をテーマにしたインタビューに挑みました。大学で学んだジェンダー論を切り口に臨んだインタビューでしたが、実際に現地の方から生の声を聴く中で、自分が何も分かっていなかったことに気づかされました。また、言語の壁にも直面しました。そんなとき、ウガンダの研修員から「あなたの農業やジェンダーにかけるパッションを繋いでいってほしい」と言って頂いたことが、とても嬉しく感じました。
その後、大学院進学か、それとも国際協力の現場へ行くか深く悩みましたが、最終的に選んだのは「自分も現場に立つ」道でした。この道を選んだのには、JICAで出会った様々な経験を持つ大人、特に現地での経験をとても楽しそうに話される協力隊経験者や海外から来ている研修員との出会いが大きく影響しました。JICA海外協力隊に応募、無事選考を通過し、卒業後はフランス語を活かせるアフリカの地で活動します。私のこの決断に、当初は両親の反対もありました。しかし、小さい時から「自分のことは自分で決める」ことを大切に育ててくれた両親は、私の姿勢を信じ、尊重してくれました。
アフリカでは学ぶ姿勢を大切に活動し、また戻ってきたいと思えるような場所にしたいと思っています。

JICA筑波では、ウガンダからの研修員の協力を得て農業×ジェンダーのインタビューを実施
ローカルとグローバルを行き来する:国分寺での学び
海外での活動以外にも、自分の住む地域での活動にも参加していました。環境問題への関心から、国分寺市でのフェアトレードコーヒーのカフェでアルバイトしたのをきっかけに、市民講座「国分寺カレッジ」に参加しました。国分寺カレッジには、バックグラウンドは異なりますが、同じ興味関心を持つ様々な年代の人々が集まっています。私は自分の親世代に近い方々と一緒に、「お弁当の中身を旅する」というテーマで、国分寺の野菜や惣菜でお弁当をつくる「おべんとりっぷ」というプロジェクトに取り組み、対話を重ねる中でアイディアが収れんされていく面白さを感じました。また、アルバイト先や「国分寺カレッジ」の大人の方々と話す中で、多様な生き方・考え方があることを知ったことも、貴重な出会いでした。カナダ・フランスでの農業経験でも、地域があってこそ大きな社会があると感じていましたので、私にとって「ローカル(地域)」なことは、「グローバル」な世界以上に大事なことであり、「国分寺あっての自分」だと感じています。

こくカレ博覧会で「おべんとりっぷ」のコンセプトについて発表
津田塾大学という「学び舎」
津田塾での学びを振り返ると、高校までの「テストや点数がゴール」という学び方とは全く異なるものでした。大学では自分で学びたいことを見つけることが大切であり、多文化・国際協力学科の授業を通じて、ものの見方が広がり、「考える力」が培われたと感じています。
授業の中で一番印象に残っているのは、文化人類学の授業です。この授業で「自文化中心主義」という概念に出会い、私の世界観は大きく広がりました。それまで途上国とされる国々を狭い枠組みで捉えていた自分に気づかされ、マイノリティ側の視点や、相手をわかろうとする気持ちを突き詰めることの大切さを痛感しました。
卒業論文を執筆するにあたっては、ゼミの先生をはじめフィールドワーク相談員の方や図書館の司書さん等、たくさんの熱心な先生方に支えられました。また、切磋琢磨し合えるゼミの仲間の存在も大きく、同志として共に頑張れたからこそ、ここまで来ることができました。津田塾大学は本当の意味での「学び舎」なんだ、と入学してから何度も感じる学生生活でした。

軽井沢でのゼミ合宿
インタビュアー後記
筒井さんのインタビューを通して、筒井さんの経験一つ一つが非常に密度の濃いものだということが伺え、私自身にとっても大きな学びとなりました。特に、津田塾大学での学びを土台にしながら、学外の学びに挑戦していく姿には驚きと深い尊敬の念を抱きます。また、情報があふれ、何でも知ったかぶりになりやすいこの時代だからこそ、筒井さんのような自分の目で見て肌で感じたものを大切にする姿勢は貴重であると思いました。そしてJICAの活動の中で挫折を味わいながらも最後まで調査をやり遂げ、「現場に立つ」決意をした誠実さに心の強さが見えた気がします。学内、学外での学びを生かして挑戦し続ける筒井さんのご活躍を心から応援しています。
文章:学外学修・キャリアセンター学生スタッフ 大澤萌花


