津田塾大学 学外学修・キャリアセンター

国際関係学科3年 稲生七海

学生の頃から理系科目は大の苦手、いわゆる「ザ文系」として道を歩んできた。そんな私が「文系・理系に捉われない、女子学生の多様な活躍」を実現するべく、勇気とパスポートを握りしめて向かった先は台湾。トビタテ!留学JAPAN派遣留学生として、また津田塾生として行った座学+インターンシップ+フィールドワーク活動は、私に沢山の人の「出会い」と沢山の「学び」を与えてくれるものでした。

台湾留学のきっかけは日常の些細なことから

 きっかけは、理工学部の大学入試における「女子学生枠の拡大」が正式に決定したことや、日本の半導体産業が伸び悩んでいる、という報道を目にしたことです。気になって自分なりに調べ学習をするうちに抱いたのが「なぜ理系分野で女性割合が少ないのか?」、「理系・文系に捉われず産業に貢献する道はないのか?」という疑問でした。
特に、昔から日本と世界を結ぶ存在、日本の発展を支えることに興味があった私にとって、日本の産業発展に欠かせない理工学分野で女子学生の参入が少ないという事実は「多くの人々に挑戦する勇気を与えたい」という気持ちを強くしました。

このことから「ザ文系」な私が、「国際関係学」の知識を駆使し、「社会・産業発展に女性活躍がもたらす可能性」を見つける!ということを目的に、半導体産業が先進する台湾への留学を決意しました。

台積創新館 (TSMC)へ の訪問in新竹

【文部科学省】トビタテ!留学JAPANとの出会いと立ちはだかる壁

 私がトビタテに応募した一番の理由は、社会や「誰かのため」に自分の留学経験を繋げられること、そしてその経験を「成果」として評価してもらえる点でした。しかし、トビタテの長所である「計画の多様さ」は「留学の実現可能性」を担保するうえで大きな壁にもなりました。
 座学の受入れ先機関に加え、企業からのインターンシップ受け入れ許可をもらうため、何社もアプローチ、現地法人の社長に直談判、自分が思いつく限りの方法を試したものの、結果は上手くいかない。その時に、相手から「信頼」をもらうことの難しさ、自分の留学計画が生み出す価値を「他者の視点」に立ち考えることの大切さを痛感しました。

インターンシップ活動・インタビュー中の様子in桃園

壁を乗り越えたきっかけは沢山の人からの支えだった

 立ちはだかる壁を前に、途方に暮れ、挫けかけそうだった私の心を支えたのは「どうしても諦めたくない」という想いでした。恥じらいを捨て、正直に「助けてください」と周りに声を上げた時、家族や大学職員・OGの方々、トビタテで知り合った方々が私に対して親身に力を貸してくれたことは、言葉では表しきれない程心の支えになっていました。沢山の方が、私を台湾へ、繋いでくれたのです。
その結果、座学、金融系企業でのインターンシップ活動・社員インタビュー・半導体企業の資料館への訪問・現地理系学生への意識調査を含めたフィールドワーク活動を実施することが出来ました。

台湾現地Youtuberまきよさんとのコラボ撮影
コラボ動画:https://youtu.be/-3M7DgJTPN8?si=Kqf4iWa3J6GwHL2g

留学活動で得た学びと成果

 インターンシップ活動では、「女性活躍を支える環境・働き方」を体感するべく団体保険部にて顧客訪問、金融保険部への出張業務に取り組みました。また、社員インタビューを通して、日本と台湾において「国民性」という意識の違いが「女性活躍の在り方」を支えていたという一面に気づくことができたのと同時に、「女性活躍推進が生む弊害」を知ることが出来ました。
フィールドワーク活動では、半導体企業の資料館への訪問、現地理系学生への意識調査を通して、社会や産業発展に貢献する上で、「多くの人が自発的に関心を向ける」ことの大切さを感じました。その反面、学生への意識調査の際に、目的や達成目標だけでなく、「仮説」を立てる作業が足らなかったと、反省すべき点にも気づくことが出来ました。
そして何よりも、台湾での活動を通して「日本の良さ」に沢山気づけたこと、「制度だけでなく個人の意識も高める」という観点を問題の解決策に含めようと、解決策の具体化を行えました。


諦めない気持ちと挑戦

今回の留学活動を通して、強く感じたことは、「諦めないで挑戦を積み重ねてきて良かった」ということです。しかしその裏には、数え切れない程の人達からの支えがありました。台湾滞在中にも、ずっと私を支えてくれた現地の友達、社員の方々、新たに出会った沢山の方々のとの繋がりは私の留学活動を豊かにするだけでなく、私にとってかけがえのない宝物にもなりました。私は、今回の経験を「日本と世界を結ぶ存在、日本の発展を支える存在になる」という将来の目標達成に活かしていきたいです。

最後に、津田塾大学には、たった一人の学生のために真剣に向き合ってくれる職員の方々、応援してくれる友達がたくさんいます。そして、トビタテだけでなく、学外学修・キャリアセンターからの支援や奨学金に関する情報提供など、多様な挑戦を後押しする仕組みもあります。この記事を読んでくださった方にとって、自信と勇気を持ち挑戦するきっかけになれば嬉しいです!

絶景スポットin淡水にて

※写真はご本人から了承を得ています

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文章:稲生七海