聞き手:学外学修センター学生スタッフ
Q.参加した学外学修について教えてください。
A.大学2年の時に経済同友会主催のプログラム(注)で銀行での3週間のインターンシップに参加しました。プログラムのうち、最初の1週間はリテール(個人向けの営業)の体験をして、残りの2週間は、ホールセール(企業や政府向けの営業)体験をしました。日系の鉄鋼メーカーのクライアントに対してその鉄鋼メーカーがより発展していくために私たちが出来ることは何かをグループで話し合い、最終的にプレゼンをしました。
Q.学外学修に参加しようと思ったきっかけは何ですか?
A.大学1年生の時にリード・アジアという中国の学生と日本の学生が交流するプログラムに参加した時に、内容の一つとして金融機関を訪問しました。その時に、金融機関は世界中に拠点を持っていて、私が夢に持っていたグローバルな仕事を体現していると思い、興味を持ちました。一年後、学外学修センターから、銀行でのインターンの案内を見て、金融業界をより深く知りたいと思ったので参加しました。
Q.学外学修をしている間に就活について考えたことはありますか?
A.参加したインターンは金融業界でしたが、学外学修が終わった後に、自分と金融業界の間にずれが生じているなと思いました。銀行の役割というのはお金を企業に投資することがメインで、商品としての”モノ”に携わることが結構少ないんですよね。だから、商品に携わりたいという思いが強くなりました。そうすると、インターンが終わった後に、もしかしたら私は自社製品を持っているメーカーで、それを海外に広めるためにどうしたらよいのかというのを徹底的に考えるほうが合っているんじゃないかなあと思いました。
あと、経済同友会のプログラムに参加して他大学の学生と交流する中で、就活に対して考えるきっかけがありました。大学2年生ってあんまり就活を意識する学生っていないと思うんですけど、2年生の時点で参加してるってだけあって、みんな将来のビジョンが決まっている人が結構多かったんです。周りの学生は「外資系の金融に行って〇〇したいんだ」とか意識の高い人がたくさんいて、そういうことは私の考えていなかったことだったので、すごく自分の将来に対する思いが整理されたかなと思います。
最終的に就職活動では「自社製品」「グローバル」「女性活躍」の3点が軸になりました。
Q.グローバルに働きたいというのは以前から意識していましたか?
A.単純に海外の人とコミュニケーションを取るのが好きだったというのがあります。初めて海外に行ったのは中学2年生の時で、アメリカで1週間ホームステイをしました。その時に、つたない英語でもコミュニケーションを取れていることが嬉しくて、私が知らない色んな世界が広がっているんだなあと感じました。海外に行くことで好奇心が掻き立てられる経験をするのがとても楽しかったので、企業に入社しても海外で大きな仕事をして自分自身を高めたいと思って意識していました。
Q.「女性活躍の企業」とはどのような企業だと思いますか?
A.「女性を主語にして話してたことです」数字で女性は何人いますと言っている会社はたくさんありますが、実際のところは表で働いているのは男性で、女性は事務作業をしている、ということも多いです。
私は「海外営業をしたい」ということを面接の時から言っていましたが、内定を頂いた時に、「女の子は危険だから海外営業にいくことはないよ」って言われて、私がやりたいと思っていることを会社はくみ取ってくれてると思っていたのに、女性という理由で最初から私のやりたいことはできないと言われたように感じてショックを受けました。今後入社した後も理不尽なことが起こりうるのかなあと思いました。就職活動をしている中で、若い20代はあまり海外に行かせられない、みたいな会社もありました。20代はあまり経験がないから、海外に駐在させるのは30歳過ぎてからとか。
一方で、内定先は女性が働きやすい環境をつくっていることに加えて、津田の先輩が海外営業をされていると聞いて自分の働く姿が想像できました。入社3年目から海外で1か月から1年間研修するチャンスがあるので、そういうチャンスを掴みたいなという希望も含めて、入社を決めました。内定先は働いている姿を見て女性が前に出てお仕事をしているところを見たので、これは感覚になるんですけど、きっと私が入社しても女性という理由だけでお仕事を幅が制限されることはないのかな、と思って内定先に決めました。
Q.就活をしていた際にもインターンがあったと思うのですが、それと学外学修の違いは何だと思いますか?
A.就活時代に参加したインターンと比べると圧倒的に違うのは「心のゆとり」だと思います。2年生だから適当にやってもいい、という意味ではなく、就活時代ってほんとに切羽詰まっている状況です。大学2年生の時に参加した方(経済同友会)は純粋に企業の事を知りたいとか、もっと金融について知りたいという思いで参加していました。逆に、就活中のインターンでは、インターンの中で成果を出さないといけない、とか、この学生に勝たないといけないとか、そういう余計なことばっかり考えてしまうと思うんですけど、学外学修の方が就活時のインターンに比べて、圧倒的に時間もあるので、ゆとりを持って取り組めたというのが違う部分かなと思います。
Q.学外学修をすることと、就活をすることに繋がりはあると思いますか?
A.就活でよく聞かれる志望動機には、志望しようと思った理由が必ずあって、その理由は学生時代に経験したきっかけを基にすることが出来ます。例えば、海外旅行に行って沢山日本車を見て車のメーカーで働きたいと思った、とか、インターンに参加したときにこういう業務をして、自分にすごく合っていると思ったので働きたいと思った、とか。沢山学外学修をして自分の経験値を高めていくことで志望動機の引き出しがたくさんできます。実際私も、就活で「どういったものに参加したの」と言われたときには、経済同友会での学外学修のことを話したりしました。経済同友会のプログラムは期間も3週間あり、自分の中でも取り組んだ内容が就活時の3日間のインターンなどよりも圧倒的に多かったので、話す内容も沢山ありました。あと、経済同友会のプログラムは、自分自身が初めて参加したインターンでもあって、参加する前と参加した後の自分の変化について気づきがあったので、そういったことを就活の時には伝えていました。
Q.津田塾生で今から学外学修やインターンに参加する学生も多いわけですが、Kさんが思う津田塾生のインターンや学外学修における強みは何だと思いますか?
A.インターンで津田塾生に会うことはなかったので、インターンでにおける津田塾生の強みは分からないんですけど、私が津田塾生を見ていて思うのは「やるべきことをやっている学生が多いなあ」ということです。津田の学生って他の大学と比べると、起業します、みたいな人が他の大学に比べると人数的は少ないと思うんですよね。でも、大学の日々の課題であったり、ESの1つにしてもすごくこだわって書いている人が多いなと思います。やるべきことをやるっていうのは、社会人になっても当たり前のことだと思うんですけど、大事なことだと思うので、それが強みなのかなあと思います。
Q.学外学修や就活におけるインターンなどの活動を通じて、後輩に向けて、これはやっておいた方がいいなと思うことはありますか。
A.やっておいてよかったな、と思うことは学外の人と交流するということです。学外学修もリード・アジアも、他の国の学生や企業の方など、自分が津田で生活していて会えないような人たちに会って、経験してきたことを聞くことによって自分の興味が広がったので、いろんな人と交流して損はないなと思います。自分が身を置く環境によって自分はすごく変わると思います。実際に自分がロールモデルとしていた人は、1年次に参加したプログラムで出会った他大学の人でした。その人はアルバイトや学外学修、学業など様々な環境に身を置いている人で、その人がいうには「1つの世界や環境にいるだけじゃ、他の環境にいる人のことを理解できないから」という話でした。それを聞いて、私もそうなりたいな、と思ったのが、大学1年生の時ですね。これから津田に入学してくる人たちは、沢山学外学修に参加して、津田の学生だけじゃなくて本当に色んな人と交流してほしいなと思います。
Q.大学生になると自分の大学の課題やアルバイト等で多忙になりがちで、他大学とのつながりを持つ機会を作るのが難しいと感じる人も多いと思います。その機会である学外学習などの校外学習に踏み出せない人が多いと思いますが、そういう人たちに何かアドバイスはありますか?
A.何か新しいことに参加しようとすると結構悩むじゃないですか。これに参加したらアルバイトにいけなくなっちゃう、とかこれに参加したら学校の課題が追いつかないかもしれない、とか。そういうこれから起こりうる危険みたいなものってリスクを想定してしまうと思うんですけど、何かに挑戦する時は何かを犠牲にしないといけなくて。だから割り切って「取り敢えずやってみよう」て形で何かに挑戦してみたら、新しい未来を切り開いていけるのかなと思います。ひとまず何も考えずに好奇心の赴くままにやってみてもいいんじゃないかな、と。
Q.その踏み出せない理由の中に、学外学修をしたいな、と思っても、周りのネガティブな感情を持った人を気にして踏み出せない人もいます。そういう人たちに対してご自身はどのように対応していましたか?
A.周りの人に対して、私は学外学修に参加して、新しい友達が出来て、私は周りの人と違うんだよ、というような感情でいたので。学外学修に参加してみんなが経験できないようなことを経験しているというのは、私は自分自身の魅力に繋がると思っています。
例えば、1年生の時には、「親からお金出してもらっていくんだ」とか思っても、数年経てばすごく些細なことになると思うんですよね。当時は悩みの種でも、数年たってみれば、「あんなことで悩んでいたのか」ってなるかもしれません。
(インタビュー後記)
Kさんのお話を伺っていると、「ポジティブであることがよい流れを作っている」と感じました。自分がしていることにどれだけ誇りに思えるか、が大切だと思いました。
(注)経済同友会主催による長期インターンシッププログラムについては、2018年度まで津田塾大学から学生を派遣していましたが、現在は派遣しておりません。