花田優子

 

なぜ南アフリカ? 

南アフリカでインターンをすると決めた際、1年間の協定校留学終了を目前に控えており、私はイギリスにいました。当時、留学で得たもの以上に自分の無知さや無能さを痛感した留学であったと振り返りながら、帰国後何をするべきかを考えていました。まず一番に、せっかく1年で身に付けた英語力を日本に帰国してからすぐに落としてしまうことだけは絶対にしたくない、という気持ちが強かったので、2か月以上という貴重な夏休みの使い方を考えたとき、海外に行く、という選択肢が浮かびました。そこで、大学1年の時には思うようにできなかったベトナムでの活動を思い出し、将来のために経験を積むのと同時に、この道に進もうと決めるきっかけとなったアフリカに絶対に一度行こうと思っていたため、ありがちですが、『アフリカ インターン ボランティア』とインターネットで検索しました。そこで一番に出てきたのがProject Abroadでした。私の関心のある国際開発を行うNGOが南アフリカにあり、そこでのインターンシップ生をProject Abroadが派遣していると知り、迷わず即座に参加を決め、渡航する2か月半ほど前にアプライしました。

 

VrygrondにあるNGOでインターンシップ 

 私が1か月間インターンを行ったWhere Rainbows MeetというNGOは、南アフリカの首都ケープタウンから車で30分ほど離れた、Vrygrondというところにあり、よりよい生活・コミュニティ形成のために住民自らが責任をもって行動する社会基盤をつくる、という理念を掲げて活動しています。Vrygrondの失業率は7090%と言われており、ギャングに脅されて学校に通えない子どもがたくさんいる、タウンシップと呼ばれる地域です。このような状況を打開するために、Where Rainbows Meetはこれらの住民が技能を身に着けるためのプログラムを行っており、地域開発だけでなく彼ら自身の将来の選択肢を広げています。 インターンでは現地スタッフから仕事内容を指示されるということはほとんどなく、インターン初日から自分にできることは何か、NGOが必要としているものは何か、実行可能性を考えずにまずはひたすらアイディアを絞り出すことから始めました。
私が行った主な活動は、タウンシップの実態調査です。私が状況をまず知ろうとしたところ、NGOに、将来コミュニティを作り上げていくことになる若者に関する資料が極端に不足していたため、
NGOが行っているコンピュータークラスに来ている若者を中心に彼らの生活状況についてのアンケートを行いました。質問内容は、普段の生活状況、習得したい分野やスキル、
数年後の自分たちの理想的かつ具体的な姿など主に6つの項目に分け、約30名から答えを得ることができました。これらの答えは、主に寄付金から成り立っているNGOであるWhere Rainbows Meetが今後、スポンサーを得る際にタウンシップの状況を訴えかける重要な情報となります。私が答えを欲しかった対象者は、ドラッグやアルコール中毒になりかけてしまっているような若者世代だったのですが、その地域の治安の悪さが問題で、NGOから出るときは必ず現地スタッフとともに出かけなければならなく、私の滞在時間が限られていたこともあり、やむを得ずNGOにいる若者を中心とした答えしか得られず、現地の格差を少しも埋めることができなかったことがもどかしかったです。限られた時間の中で自分の役割をいかに最大限に果たすことができるかが重要だということを心から感じました。しかし、アンケートを実施するにあたり、住民の人たちと信頼関係を築き上げることができたことは私にとって大きな成果でした。

世界中から来るインターンシップ生と現地での生活

 現地では、銃の打ち合いが頻繁に発生するといわれている地域から車で10分ほど離れたところにホームステイをしていました。しかし、私自身命の危険を感じることは滞在中一度もありませんでした。参加開始日から終了日までの期間を参加者が自由に決められるのがProject Abroadの特徴なのですが、私が一緒に滞在していたのは、時差や地理的の関係からか、南アフリカに比較的近い、イタリア、スペイン、フランス、ドイツのヨーロッパからのインターンシップ生でした。みんながみんな同じインターン、もしくはボランティアをしているというわけではありませんでしたが、それぞれの活動をとおして現地について思うことなど、毎日かなり深く、熱く話していたため、インターン中だけでなく、彼女たちと話したこと、そしてそのなかで感じ、考えたことも私のなかで非常に大きな財産です私がホームステイをした家庭は、インターンシップ生を何年も受け入れている家庭だったため、食事から居心地まで、本当に最高でした。アフリカ、と聞くと家庭の設備が整っていない、というイメージが強いかもしれませんが、私のステイ先は暖房もついていて、シャワーは1日だけお湯が出ないだけでした。本当に美味しいホストマザーの手料理と常にテーブルに置いてある手作りのお菓子は、インターン中に奮闘している私を肉体的にも精神的にも支えてくれました!世界各国からのインターンシップ生と共に活動できたことで、国際社会で働くイメージがより具体的なものとなりました。

 

得たものをどう力にするか

1か月のインターンで得たものはここには書ききれませんが、Where Rainbows Meetが行う授業を受けている子どもから大人の生徒を見ていて、学びに対する姿勢が将来を決める、ということを目の当たりにしました学校に通えないがゆえにアルコールやドラッグに走ってしまい、学ぶことを諦めてしまう子どもたちがいるなか、学べる機会を求めてNGOに来る人も多くはないけれど確実にいました。そこで思ったのは、そのような状況の中では、第三者である私が学ぶ大切さを力説するよりも、同じ地域に住み、同じように学校に通えない経験をしてきて現在は別の方法で学んでいる住民自身が地域開発を行うのが最適なのでは、痛感させられました。考えれば考えるほど何が正しいのかわからなくなってしまうのが国際開発の一側面である、と私は思っていますが、将来、機関内ではなく現場で活動したいと思っている私自身にとっては、自分のスキル不足に絶望したことや少なからずの失敗も含め、国際開発において鍵となる要素を少し見つけられた気がします。自分を窮地に追い込むことで、限界だけでなく、可能性も見つけました。