国際交流基金による平成23年(2011年)度「海外日本語教育実習生(インターン)派遣プログラム」に参加された卒業生からのメッセージ

渡邉茉希

商社 (学芸学部英文学科2011年3月卒、文学研究科英語教育研究コース2014年3月修了)

EUは公用語が20カ国語以上あり、1つの国の中でも複数の言語が使用されることが普通の地域です。募集があった頃は日本語教員養成課程を修了し、大学院で言語教育に関する論文を書くことを決めていましたので、多言語環境の教育現場を直に見てみたい!という興味、関心からこのプログラムに応募しました。

中尾こずえ

海運業界(学芸学部 国際関係学科2014年3月卒)

大学1年の春休みに海外活動奨励金を利用して参加したNGOの海外研修でラオスという国に行った際、現地で日本語を勉強する青年に出会ったことで日本語教育に関心を持ちました。その後、津田塾大学の日本語教員養成課程を専攻する中で、世界各地でどのような人々が何を目的に勉強しているのかを知りたい。またそれらの人々に対して、現地の日本語教員はどのように考えながら教えているのかを学びたく、このプログラムに応募しました。

ドイツ・ケルンでの仕事

ケルンでの仕事は大きく分けて、日本語教育、日本文化事業、図書館業務の3つでした。
 
ケルン日本文化会館では春と秋に日本語講座が開始されます。私たちは半年間毎日のように授業の見学へ行き先生方の立ち振るまいから学び、残りの半年は初級の授業を実際に受け持ち、見学から学んだ技や知識を発揮しました。授業のほかにも日本文化を紹介、学習するコースや特定の文法を強化する目的の講座が毎週あります。この講座の企画・運営を一任されたときは、何度もテーマを却下され考え直し、道具や教材の準備が大変で苦労しました。その分、学習者が満足そうに帰るのを見たときの達成感は大きかったです。他にも、日本語教師向けの勉強会や日本語能力検定試験の補助でドイツ国内を出張することもありました。

日本文化事業の主な業務は講演会やコンサートの手伝いです。開催前はイベント告知のフライヤーを何百件と配布、発送し、催事後はアンケートの集計を行いました。出演者のお弁当や飲み物を用意し、快適に過ごせるよう気を配るのも私たちの仕事です。日本語の授業と異なり、自分たちは表に立たず裏に徹するのですが、日本文化事業では普段見ることのできない催事の裏側を見ることができて大変興味深かったです。

また、会館には図書館が併設されていたので毎週金曜日は司書業務に携わりました。蔵書の貸し出し、問い合わせ対応、新刊の登録作業が私たちの役割でした。
 

左:中尾、右:渡邉

左:中尾、右:渡邉

インターンシップの経験が社会人になって活きている

渡邉:私がインターンシップをして良かったと思う理由の1つは、「働く」難しさを経験できたことです。正直、ドイツでは失敗の連続でしたし、随分不器用な振る舞いをしていたと思います—報連相がうまくできない、計画性がない、授業などの準備に手間取る、成果が出せない…。一見、言葉にしてみると解決するのは簡単そうですが、当時の私には難しく、「働く」ことへの認識がいかに甘かったかを痛感する日々でした。この苦労があったからこそ、社会人としての心構えができ、有意義に働けているのだと確信しています。

また、私は2016年の5月末よりアメリカの現地法人勤務となり、日本語学習者向けの教材を書店や大学、日本語補習校などに卸しています。出向社員に選ばれた要因の1つは間違いなくインターンシップの経験だと思います。このような形で活かされるとは思いもよりませんでしたが、海外で生活できるタフさや、大学時代から携わってきた日本語教育の知識と経験が評価されたのは、やはりとても嬉しいです。

インターンシップの最中はその意義を見出せないかもしれません。ですが、自分の糧になっていることに気が付くときが後で必ずきます。是非精一杯取り組んできてください!
 
中尾:私は大学を1年間休学してこのインターンシップに参加しました。正直なところ休学は勇気のいる決断でした。しかし振り返ってみると、大学の授業やキャンパスライフでは学べないことをたくさん経験できた貴重な時間であり、その経験は今の自分に確実に活かされていると感じます。

日本語の授業を担当していた際、言語の異なる相手に対していかに分かりやすく伝えるかということが当時の私にとっては最大の難問で、上手くいかず悩むことは日常茶飯事でした。しかしその経験が、環境も考え方も違う世界各国の会社とどのように折り合いをつけていくかが求められる現在の仕事に活かされていることは間違いありません。

また自分の生き方を考える上でもこのインターンシップは大変重要な役割を果たしてくれました。ケルン日本文化会館での活動はさることながら、海外に住む日本語講師の方々や近隣大学の日本語学科の学生、現地在住の日本人や留学生、語学学校のクラスメートなど、実に様々な人と交流がありました。休日を利用したヨーロッパ各国への旅行もまた楽しみの一つでした。海外の文化や様々な人の考え方を知ることができたこの1年間の経験は、人生の選択の幅を広げてくれたように思います。

大学時代に関心を持って挑戦し、経験したことはきっと今後の人生に役立つはずです。一歩踏み出す勇気はいるかもしれませんが、普段の大学生活では経験できない素敵な「学び」があると思うので、大学生という立場と時間を活かして、ぜひ色んなことにチャレンジしてみてください!
 

報告会の様子(左:渡邉、右:中尾)

報告会の様子(左:渡邉、右:中尾)

旅先にて(左:渡邉、右:中尾)

旅先にて(左:渡邉、右:中尾)