稲垣葉子

「夏休みをどう過ごすか」。普段は授業やバイトで忙しく、自由に時間を使うことのできない皆さんにとっては大きなクエスチョンであると思います。今回はなぜ私が大学最後の夏休みを日米学生会議に費やすことにしたか、それによって何が変わって何が変わらなかったのか、そしてこの経験をこれからにどう活かしていきたいかを紹介していきます。

日米学生会議とは?

日米学生会議(Japan-America Student Conference- JASC)とは、「世界の平和は太平洋にあり、太平洋の平和は日米間の平和にある。その一翼を学生も担うべきである」という理念の下、日米の学生間交流を目的として1934年に発足した学生団体です。本会議では日本側36人とアメリカ側36人の参加者が3週間に渡り共同生活を送りながら、様々なトピックについて議論します。

私は2016年8月にアメリカで開催された第68回会議に「個人とナショナルアイデンティティ」分科会の一員として参加しました。今年の会議のテーマ「個人として、一員として、変わりゆく未来に立ち向かえ〜終わりなき対話と自己理解・相互理解〜」を下に、アメリカの4都市(ボストン、ワシントンDC、モンタナ、サンフランシスコ)を訪れ、学生間交流と活発な議論が繰り広げられました。

Japan-America Student Conference- JASC

Japan-America Student Conference- JASC

なぜ参加したのか?

自分と違った価値観を持った多くの人に出会いたい、世界を違った視点で見てみたい、と思ったのが日米学生会議に参加した1番の理由です。3年次に行ったオーストラリア国立大学への留学時にはアジア・太平洋の安全保障を主に国を単位として勉強したのですが、その後経験した国連広報センターでのインターンの影響を受けて、私の頭は世界を国ごとに捉えるというよりも国の中にいる個人に焦点を当てて考えていました。日米学生会議には工学や数学など自分と全く異なる勉強をしている人もたくさん参加しますし、個人というよりも日本とアメリカという二国関係に焦点を当てることに新しさと面白さを感じ、応募しました。

防衛大学校の学生と分科会メンバー(筆者:下段中央)

防衛大学校の学生と分科会メンバー(筆者:下段中央)

そこで得たもの、得られなかったもの

会議を終えて自信を持って言えることは、一生付き合っていけるような友情関係を築くことができたということです。特に私の所属していた「個人とナショナルアイデンティティ」分科会のメンバーとは仲良くなりました。3週間、寝食を共にし、ディスカッションを繰り返す訳ですから、もちろん相手と自分の価値観の合わない部分なども見えてくるのですが、違いを認め、多様性を尊重し合うことで信頼し合える関係を築くことができました。

サンフランシスコ、箱根ガーデンにて

サンフランシスコ、箱根ガーデンにて

反対に会議を終えて残念に思うことは、講義や訪れる場所への事前知識の不足、ディスカッションの時間的な制約によって、それらを完全に自分のものにすることができなかったということです。会議中は連日、1日に複数のレクチャーを受け、複数の場所を訪れるため、自分で意識していないと、どうしても受け身的にそれらを受け取り、何も自分の頭で考えることなく過ぎ去ってしまいます。さらに睡眠不足や疲労が重なり、講義に集中できない日などもありました。また、最後に行われたプレゼンテーションを意識し過ぎて、分科会のディスカッションを十分に深めることができなかったと後悔しています。

モンタナ州のGlacier National Parkにて大自然をバックに分科会メンバーと

モンタナ州のGlacier National Parkにて大自然をバックに分科会メンバーと

会議を終え、これから

会議を終えて思うことは2つあります。1つ目はこの会議で得た知識や経験をきっかけにして自らの頭で考えて行動していきたいということ。会議中にはよく参加者に対して、「君たちは日米同盟の未来を担っていく人材なのだ」という趣旨の発言がよくされました。もちろん、参加者の中には外交官や政治家となり、日米関係に直接的に働きかける人が出てくるかもしれませんが、参加者の一人ひとりが参加した目的や将来達成したいことは違うと思います。私自身は、これからも貴重な体験ができる機会を活かしつつも、言われたことを受動的に受け取り実践するのではなく、自分の頭で何が正しくて、どう行えば効果的であるのかを考え、国際社会全体に対して何らかの形で貢献していけたらと思っています。

グループディスカッションの様子

グループディスカッションの様子

2つ目は今回得た大切な仲間との対話をこれからも続けていきたいです。共に過ごした3週間の思い出は私の心の中に残り続ける訳ですが、そこで達成できなかった深いディスカッションや価値観の交換は培われた友情関係を基にしてこれから一生をかけて行われていくものだと感じています。もちろん、様々な理由で疎遠になってしまう人もいるかもしれませんが、何かの機会に出会えた時にまた変わらず核軍縮や社会的マイノリティについて話合えるような関係であり続けたいです。そうすることで初めて68回会議のテーマである「個人として、一員として、変わりゆく未来に立ち向かえ 終わりなき対話と自己理解・相互理解」が達成されるものであると思います。

ワシントンDCのアメリカ合衆国国務省にて。ケネディー大使と参加者

ワシントンDCのアメリカ合衆国国務省にて。ケネディー大使と参加者

最後に日米学生会議に関連する2つのイベントを紹介します。

1)第68回日米学生会議報告会 兼 第69回日米学生会議説明会

12月3日(土)に第68回日米学生会議報告会 兼 第69回日米学生会議説明会を青山学院大学で開催いたします。私も参加者として登壇し、この夏の経験をお話しさせていただく予定です。過去の参加者である茂木健一郎さんによる講演や第69回会議の説明もありますので、ぜひご参加ください。詳しくはこちら

2)第12回Annual Youth Forum

12月6日(木)に日・米・独・中・その他のパネリストを招いて第12回Annual Youth Forumが開催されます。これは日米学生会議の同窓生によって設立された団体により運営されているフォーラムで、今回は「多様性」をテーマに宇宙飛行士の山崎直子さんからの基調講演やパネルディスカッションを予定しています。詳しくはこちら